トップアスリート連携事業 - 経緯

トップアスリート連携事業 東大阪市

トップアスリート連携事業には次の2種類がある。
1.アスリートのスポーツ能力を高めていく事業
2.子どもの運動能力を高めるため、アスリートが子どもを指導する事業

この記事では後者の事業を記す。

プロのアスリート(スポーツ選手)と地方自治体が連携し、公立の学校教育において、アスリートが子どもを指導教育する事業です。

次の文は、「第2期東大阪市 まち・ひと・しごと創生総合戦略」(素案)(2021年2月)に記載された「トップアスリート連携事業」についてです。

市立中学校、日新高等学校の運動部活動指導にトップアスリートを派遣し、高い水準の指導を受けることで生徒のスキルアップに繋げるとともに、合わせて学校教員の長時間労働の軽減を図り、「働き方改革」に繋げていく。また、プロスポーツ選手のセカンドキャリアの確保も目的として実施する。

トップアスリート連携事業(素案) タイトル画像

関係するファイル等は、次のURLからダウンロードできるようにしました。

以下、施策に至る事項や関係すると思われる事項を列挙していきます。
最新の記事を上に、過去記事を下にしています。
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(↓ これ最新)


トップアスリート連携事業本格実施 日新高校 Youtube 2021年9月10日

東大阪市広報番組「虹色ねっとわーく」にて放映
「花園近鉄ライナーズが部活指導。 トップアスリート連携事業が、今年度から、日新高校で本格実施されています。選手のスキルアップにつなげ、教員の負担軽減などを図る」

意見:野田市長の選挙公約により実施された事業であり政治による公教育への介入である。日新高校ラグビー部の活動に対し市は公金を年間137万円も支出し、学校運営における生徒全般に対する教育機会均等を考慮していない、不平等な事業である。


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市民の声 2021年5月11日付け

表題:体育関係の教育施策について
ご意見
 日新高校のラグビー部に対して、市長が主導して近鉄ライナーズによる教育指導の施策を講じています。このことは、ラグビー部員ではない生徒との関係において、市の予算など公共資源の不公平な分配であり、教育の機会は均等ではありません。近鉄ライナーズによる教育指導をやめてください。

回答:高等学校課
 今年度、近鉄ライナーズの協力を得て、市立日新高校ラグビー部に指導いただく試みを行いました。現在、事業効果等を検証しております。また、本事業については、学校のPR活動の一つとしても考えており、次年度はラグビー部以外の他クラブでも実施を検討しております。今回いただきましたご意見を参考に検討してまいります。

(注)「今年度」とは2020年度である。
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市政だより 令和3年(2021年)5月1日号 6面と7面

東大阪市は、市の広報誌において、「コロナ禍における「新たな日常」の実現へ」という表題で令和3年度予算を公表した。
ラグビー事業やトップアスリート連携事業が日常であるわけがない。不要不急の事業だ。

今年度の主な事業概要
事務事業
日新高校ラグビー部の活動指導にかかる経費 137万円
ラグビー部へトップアスリートを派遣


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第2期東大阪市まち・ひと・しごと創生総合戦略 策定 - 2021年4月12日

トップアスリート連携事業に関して修正は無かった。
14日に更新され、当該PDFファイルのサイズは6.70MBになった。
策定されたバージョン


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195人が新たな一歩を踏み出す 日新高校入学式 - 2021年4月8日

「令和3年度 市立日新高校の入学式が行われました。
今年度、日新高校に入学したのは、普通科、商業科、英語科の3学科合わせて195人で、夢と希望を胸に高校生活をスタートさせました。
日比野校長は「キラリと光る原石となってほしい」と式辞を述べ、新入生にエールを贈りました。」

なお、普通科、商業科、英語科合計の定員は240人です。

195人が新たな一歩を踏み出す

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パブコメの回答 - 2021年4月1日

2021年2月の「第2期東大阪市 まち・ひと・しごと創生総合戦略(素案)」のパブリックコメントの回答があった。
私が提出したトップアスリート連携事業に対する意見では、教育資源の配賦の不平等性や、行政による公教育への介入などを指摘した。

以下 市の回答 ***
本市の各学校においては、地域の様子や実態等に応じて、地域環境の特徴や特性を生かしながら、地域をはじめ、企業・大学などと連携し、地域の伝統、モノづくりの先端技術や高度な学問に接する取り組みや、国際理解教育を学ぶ取り組みなどを実施し、子どもたちが生きた知識を身につけ、学習に興味を持つ環境づくりを進めています。
また、スポーツのまちづくりには多様な視点があり、様々な主体が連携して取組を進める必要があります。
いただきましたご意見は、今後の施策立案・検討の参考とさせていただきます。
以上 市の回答 ***

所感
「地域の伝統、モノづくりの先端技術や高度な学問に接する取り組みや、国際理解教育を学ぶ取り組みなどを実施」の部分は、本事業には関係はありません。

「スポーツのまちづくりには多様な視点があり、様々な主体が連携して取組を進める必要があります」について、スポーツのまちづくりの一般論としては市の回答のとおりかもしれませんが、公教育に関しては「必要」はありません。
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東大阪市議会 令和3年(2021年)第1回定例会3月11日-05号

トップアスリート連携事業は、「全国大会、花園への出場を目標」とすると回答した(学校教育部)。

嶋谷昌美(しまたに まさみ)議員の個人質問

また、昨年トップアスリート連携事業の試験的な取組として、近鉄ライナーズと交渉し、市立日新高校ラグビー部が8月から9月にかけて計6回、プロチームによる指導を受けております。近鉄ライナーズによるトップアスリートが行うハイレベルなプレーやトレーニングを体験し、競技に対する意識がさらに向上したとの意見が多数あったことを踏まえ、新規事業として、トップアスリート連携経費として約137万円が当初予算に計上され、令和3年度も引き続き市立日新高校ラグビー部への指導サポートを近鉄ライナーズに依頼されたと仄聞しておりますが、本市並びに市立日新高校ラグビー部の目標はどこに置かれているのでしょうか。
 また、市立中学校でのクラブ活動への展開を検討しているとお伺いしておりますが、競技種目や学校数はどの程度とお考えなのか、お示しください。
 次に、スポーツビジネス戦略事業についてお聞きいたします。
 スポーツのまちづくりを目指す本市として、小学校低学年を対象とした初心者向け体験型スポーツイベントやトップアスリート連携事業等は非常にすばらしい政策であり、また他市にはない唯一無二の政策であり、東大阪市民として、また市政に携わる人間として自慢できる政策だと思っております。本市にはラグビーはじめF.C.大阪のサッカーやゼロロクブルズの野球など、プロスポーツチームがホームタウンとしており、また、数多くのオリンピアン、パラリンピアンが在住されています。私の元にも、元日本代表選手からイベント等を通じて何かできませんかといったお話や、指定管理者の方からも、依頼があれば様々な競技の指導者を派遣できますよといった声が届いております。初心者向け体験型スポーツイベントやトップアスリートとの連携について、今後どのように進めていく予定なのか、お聞かせください。

都市魅力産業スポーツ部長
 また、トップアスリート派遣事業につきましては、例えば関西経済連合会や関係団体などとも連携を図り、学生がトップアスリートと触れる機会を検討してまいります。

学校教育部長
 議員お尋ねの市立学校の生徒とトップアスリートとの連携について答弁申し上げます。
 まず、市立日新高校におけるラグビー部の目標でございますが、近鉄ライナーズの指導者、選手などを派遣いただき、高い水準の指導を受けることで、生徒のスキルアップ、チーム強化につなげ、全国大会、花園への出場を目標としております。同時に、他の高校では経験できない活動内容に取り組むことで、魅力ある日新高校を広くPRしていきたいと考えております。
 次に、市立中学校のクラブ活動への展開につきましては、ラグビー競技に限らず、他競技の顧問の先生方に対しても事業趣旨を説明し、今後の実施について学校現場や関係部局と協議してまいります。

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日新高校 志願者数 - 2021年3月5日

令和3年度大阪府公立高等学校 一般入学者選抜(全日制の課程)の志願者数(令和3年3月5日発表)によると、東大阪市立日新高等学校普通科に定員割れが発生したことが明らかになった。

詳しくは、次のリンク先で東大阪市立日新高等学校 入学志願者数 推移(リンク)

令和3年度大阪府公立高等学校 一般入学者選抜(全日制の課程)の志願者数(令和3年3月5日)
(上の図は大阪府のホームページ)

(上の図は、日新高校における、定員割れを示すデータ)

2021年4月に入学する東大阪市立日新高等学校普通科の募集人員が160人であるのに対して、志望者数は143人であり、初の定員割れになった。
従前は、志望者数の方が多く、定員割れは無かった。

府全体平均の競争率は1.13で、前年度(1.12)とほぼ同じである。このことから、初の定員割れを引き起こした日新高校のひとり負け状態である。

2020年9月、近鉄ライナーズが日新高校へラグビーの指導(トップアスリート連携事業)を行い、本校の広告を行ったにも関わらずだ。

中学生は堅実な将来設計をしており、非日常のラグビーには魅力を感じないのかもしれない。
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第1次実施計画 - 2021年3月4日

2021年3月、東大阪市役所は東大阪市第3次総合計画の、具体的な施策を取り決めた「第1次実施計画」を公表した。
この第1次実施計画の期間は、令和3(2021)年度から3年間である。
この計画の「施策 №6 責任ある教育を提供できる教育環境の向上」の16ページにトップアスリート連携事業が掲載された。

「トップアスリート連携事業」は、第2期東大阪市 まち・ひと・しごと創生総合戦略(素案)に掲載されており、3月4日の時点ではパブコメ期間中であった。
パブコメによる市民の意見を聴取していない時点で、トップアスリート連携事業の内容を確定させているのである。
「施策 №6 責任ある教育を提供できる教育環境の向上」の16ページに「トップアスリート連携事業」が掲載された
疑問:「トップアスリートの派遣実施率」の「事業目標」がR3以降は100%になっているが、契約を結ぶのであるから、100%になるのは当たり前だ。こんな指標を目標に設定することには何の意味も無い。この意味の無い目標を設定するやり方こそ、東大阪市役所なのだ。
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令和3年度市政運営方針(令和3年3月市議会第1回定例会) - 2021年3月1日

2021年3月1日、第1回定例会において、野田市長は、令和3年度市政運営方針の「第1の重点施策「若者・子育て世代に選ばれるまちづくり」」において、次のとおり、トップアスリート連携事業を実施することを述べた。

トップアスリートとの連携によるクラブ活動のあり方につきましては、先日行われました全国大学ラグビー選手権大会で優勝した天理大学に多数の卒業生を送り出している日新高校ラグビー部の指導を、昨年、試行的に近鉄ライナーズに行っていただきました。
トップアスリートが行うハイレベルなプレーやトレーニングを体験し、競技に対する意識がさらに向上したとの意見が多数ありました。
その結果を踏まえて、令和3年度より、日新高校ラグビー部への指導のサポートを本格的に近鉄ライナーズに依頼するとともに、今後は教員の働き方改革も視野に入れ、市立中学校のクラブ活動への展開も検討してまいります。
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第2期東大阪市 まち・ひと・しごと創生総合戦略(素案) - 2021年2月

2021年2月に、「第2期東大阪市 まち・ひと・しごと創生総合戦略(素案)」がパブリックコメントのため公表された。

この素案の「第4章 第2期総合戦略における地方創生」(17ページ)に、次のとおり「トップアスリート連携事業」が盛り込まれた。
市立中学校、日新高等学校の運動部活動指導にトップアスリートを派遣し、高い水準の指導を受けることで生徒のスキルアップに繋げるとともに、合わせて学校教員の長時間労働の軽減を図り、「働き方改革」に繋げていく。また、プロスポーツ選手のセカンドキャリアの確保も目的として実施する。

トップアスリート連携事業の内容解説

私(この記事の著者)は、パブコメに対して、次の意見を提出した。
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令和3年度学校運動部活動等補助職員(会計年度任用職員)の募集 - 2021年1月

この補助職員制度はトップアスリート連携事業では無いが、参考に載せておく。
2021年1月に、学校における運動部の補助職員(会計年度任用職員、4月以降に活動)の募集を行った。「校区内学校園におけるラグビー活動の補助」を含めた業務を行うとのこと。

「校区内学校園におけるラグビー活動の補助」を含めた業務を行うとのこと

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2020年度 試験的実施 - 2020年9月

2020年9月8日(火)、東大阪市花園ラグビー場の練習グラウンドにおいて、近鉄ライナーズのコーチが、市立日新高校のラグビー部の選手を指導するトップアスリート連携事業が試験的に行われた。8月8日から行われており、今回で5回目。
野田市長は視察に訪れた(下の写真)。
本格実施は2021年度から。


野田市長も視察に訪れた
(視察をする野田市長)

政治家でもある市長が、教育現場に足を運んだ。
政治が教育に介入する、という見方もできる。
政治の教育介入は、伝統的に避けられてきたと思われるが、ここにきて、明確に実現することになった。
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第4期市政マニフェスト - 2020年5月

東大阪市役所は、2019年9月の市長選挙で野田市長が掲げた選挙公約を、市が取り組むべき課題として位置づけた4年間の行動計画「第4期市政マニフェスト」として、2020年5月に策定しました。
「第4期」とは、野田市長が、市長選挙で連続4回当選したという意味です。

市立中学校、日新高校の運動部活動指導にトップアスリートを派遣します

市立中学校、日新高校の運動部活動指導にトップアスリートを派遣します。(学校教育推進室、スポーツビジネス戦略課)

選挙公約による課題、つまり、政治課題が、行政の施策になったということです。
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令和2年度学校運動部活動等補助職員(会計年度任用職員)の募集 - 2020年3月

この補助職員制度はトップアスリート連携事業では無いが、参考に載せておく。
学校での運動部活動(ラグビー部など)の技術指導および保健体育学習、学校行事などの補助業務です。
定員 2人
申込 2020年3月16日まで
問合先 学校教育推進室
学校での運動部活動(ラグビー部など)の技術指導および保健体育学習、学校行事などの補助業務です。

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東大阪市長の選挙公約 - 2019年9月

2019年9月の東大阪市長選挙で野田義和(のだ よしかず)市長が掲げた選挙公約の一部分は次のとおりです。

クラブ活動の指導にトップアスリートを活用(ラグビー・サッカー・野球・バスケットボールなど)


政治家として、選挙公約に挙げたのですから、トップアスリート連携事業は、政治により、提起されたと、解釈して良いと思われます。
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東大阪市立学校に係る部活動の方針 - 2019年3月

平成31(2019)年3月、東大阪市教育委員会は、「東大阪市立学校に係る部活動の方針」(PDFファイル)を策定した。

学校教育における部活動は有意義であるものの、過度な活動等は問題があることから、部活動の活動時間及び休養日の設定その他適切な部活動の取組みについて、本方針を策定した。
本方針の中の第1ページに、次の記載がある。
1 適切な運営のための体制整備
(1)部活動の方針の策定等
 ア 校長は、本方針に則り、毎年度、「学校の部活動に係る活動方針」を策定し、学校のHPへの掲載により公表する
「校長」が主語になっている。
このことから、校長が、主体的に、活動方針を策定・公表するのであって、他の者(例えば、市長)からの指示等によって行うべきではない、と解釈できる。

政治や行政がトップアスリート連携事業を策定したものの、校長はこの策定に従わなくても良いと、思われる。
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(参考)浜松市の場合

浜松市の公立小学校で、バスケットボール 三遠ネオフェニックス(さんえんネオフェニックス)のコーチ2名が、6年生 156名を対象に、体を動かしたり、「プロとは?」「仕事をすることとは?」など話をした。


以上