人権を尊重する町だと思う = 16.9% は何を意味するのか

人権を尊重する町だと思う = 16.9% は何を意味するのか


表題の数値は、市役所が実施したアンケートの結果です。

これって、何かヘンだな、って思いませんか?

結果の数値が低い、という意味ではなくて...

調査のあり方が、妥当であるのかどうか、ってハナシです。

いじめや差別の程度をきちんと表現した数値なのかどうか、ってハナシです。

この話題は、人権(いじめや差別)問題を、どのように認識するのかという根本問題であり、とても重要です。

この記事内容は、もちろん、思想ではありません。科学です。

この問題意識について、すぐにピンとくる御仁がいらっしゃるかもしれませんが、分かり易く解説していきたいと思います。

問題意識への回答は、下記「問題点 その1」に書きました。


東大阪市 市民意識調査報告書

表題のアンケート調査は、東大阪市役所が行ったもので、「平成29年度市民意識調査報告書」(平成30年(2019年)1月)です。

市民意識調査報告書...元データへのリンク

調査票

調査票は下の図のとおりです。
設問は「2 人権を尊重したまちづくりが進められている」です。
回答は「そう思う」から「そう思わない」、「わからない」まで6個の選択肢があります。
調査の設問として「人権を尊重したまちづくりが進められている」がある

調査結果

調査結果は下の図のとおりです。
調査票における「そう思う」と「まあそう思う」の合計が、調査結果においては「そう思う」で示されています。これが、16.9%でした。
人権を尊重する町だと思う = 16.9%


問題点 その1 調査票の設計不備

上記の調査票には次のとおり5個の設計上の不備があります。

1.設問内容があいまい

調査の設問「人権を尊重したまちづくりが進められている」の受け止め方が人によって異なるため、正確な実態を把握できません。

例えば
コロナ禍で医療従事者への人権侵害事件が発生し
かつ、それに対し人権尊重を促すため行政がメッセージを発出した場合

・行政の活動に着目すれば、「人権を尊重したまちづくりが進められている」に対して「そう思う」と言えますし
・事件の方に着目すれば「そう思わない」と言えます

どちらにチェックして良いか分からず、設問の設計が不適切です。

また、人権尊重の範囲があいまいです。暴行・脅迫や痴漢など、具体的行為毎に、人権侵害に含めるのかどうかは、立場によって判断が異なると思われます。

2.報道の影響

人権侵害事件がテレビやネットで拡散された場合、その事件の規模と調査対象者の規模が一致しません。
事件の当事者は数名であるにも関わらず、それが報道されれば多数の人々が知ることになり、それが調査の回答数に影響を及ぼします。

逆に、隠蔽(いんぺい)された場合、このサンプル調査(全数調査ではなく、一部の人達への調査)では把握できにくくなります。
多くの事件は屈辱的な思いがあるため、隠蔽され、報道されないと思われます。報道されないと、知らない人が多くなります。

人権侵害の関係者が調査対象に含まれるのは、わずかです。
人権侵害事件を報道で知った・又は何も知らない人達が調査対象者に多く含まれることになります。
なので、人権侵害事件の「報道に触れたかどうかの調査」になってしまっています。

3.市役所の管轄外

市の管轄外の事件や全国レベルの課題(ネット被害)も調査結果に含まれます。
この調査結果と、市の業務との関連性は薄くなりますので、市の施策の評価指標にすることは不適切です。

4.意識低い系の反応

人権意識の高い人ほど「人権尊重のまちづくり」が遅れていると感じ、意識の低い人ほど逆を感じると考えられます。
人権侵害が発生しているにも関わらず、周囲に人権意識の低い人が多い場合、「人権侵害は無い」と感じてしまうと思われます。
そうなれば、実態と主観が異なることになってしまいます。

5.社会現象の説明材料にならない

市民意識調査結果について、平成25年度の結果と比較すると、29年度の数値は下がっています。
人権の啓発は常に行っているため、人々の人権意識は高まるハズです。
数値が下がった原因を説明することができません。
調査のあり方自体に欠陥があるため、説明のできない数値になっていると思われます。


以上のことから、本調査の結果には、何の意味も無い、ということがわかって頂けると思います。



以下に長々と、問題点を述べていきますが、要するに次のとおりです。

・本調査には設計上の誤りがあるため、調査結果には何の意味も無い。
・意味が無いにも関わらず、東大阪市役所は、市の計画に導入した。
・私は市役所に対し「誤っていますよ」と指摘したにも関わらず、無視し、今日に至る。

以下、問題点を長々と述べていきます。


問題点 その2 不備のまま目標値に設定 - 東大阪市第3次総合計画

上記のような問題があるにも関わらず、
東大阪市役所は、東大阪市第3次総合計画において、
市民意識調査のこの調査項目を指標として、
2030年度末に目標値50%を目指すことを定めています。
該当箇所:施策No.1 すべての人の基本的人権が守られる地域社会の形成の成果指標(45ページ)

本計画の計画期間は、令和3(2021)年度から令和12(2030)年度の10年間です。

「問題点 その1」で示した問題があるのですから、この調査を指標として定めても、意味の有る評価が得られるわけがありません。
つくる・つながる・ひびきあう ― 感動創造都市 東大阪 ― の実現に向けて


問題点 その3 パブコメの意見を無視 - 東大阪市役所

この総合計画を策定するに先立ち、東大阪市役所は、パブリックコメントを実施しました。
このパブコメにおいて、私は、次のとおり問題点を指摘しました。
「東大阪市総合計画基本計画(素案)に関するパブリックコメントで寄せられた意見とそれに対する本市の考え方」より。
 「人権尊重のまちづくりが進められていると感じる市民の割合」を適切な指標に変更してください。
【理由】
(1)「現状値」が16.9%となっていますが、この調査のあり方が合理的であるのか疑問です。「人権尊重のまちづくり」、「進められている」及び「感じる」という、あいまいな用語を用いていることから、測定方法や調査結果があいまいであると思います。
(2)「目標値(2030年度末)」が50%であることが適切であるとする理由が不明です。これを50%にしたところで、侵害された立場の者からすると困った状況に変わりはありません。人権侵害を受けるのは、多くの場合、少数派であるため、結果の値が高くなったとしても人権侵害は発生しているのであるから、高ければ良いというものではありません。
(3)人権の尊重に関する指標を素案のとおり決定した場合、その程度や目標を数値化したという意味で画期的です。人権に関する取組みの考え方・あり方は、東大阪市役所職員の全人格性を現したものです。素案の指標が妥当であると考えた理由について丁寧に説明してください。

市役所は人権問題のプロであるため、上記「問題点 その1」のような、細かい指摘をしなくても公務員であれば理解できると思います。

繰り返しになりますが、重要であり、私の問題意識でもあるので、もう一度書きます。

人権に関する取組みの考え方・あり方は、東大阪市役所職員の全人格性を現したものです。

市役所の回答は、次のとおりでした。
基本計画の各施策における指標は、施策の実施により発生する効果・成果(アウトカム)を測るものを設定しているため、原案どおりとします。

意見に対する回答になっていない!(怒)
この回答が、意見に対して、何を意味するのかさっぱりわからん!

なお、東大阪市役所は、恣意的に任意のパブコメを削除するという、不当な制度運用を行っています。


問題点 その4 記者クラブが無視

総合計画には、人権問題の他にもいろいろ問題はありました。次の記事を参照してください。

私は、人権に関する問題は、最も優先すべきことであると考えます。

このため、2020年8月17日付けで、東大阪市役所内にある記者クラブに、市役所の広報担当経由で、情報提供を行いました。
私の意見は次のとおりでした。

 東大阪市役所職員が「人権に関する施策の効果・成果(アウトカム)を測定できる」と信じていることが、あり得ないことです。しかも、調査は主観評価です。人権に関する意識の希薄な職員が、何も考えずに計画を策定したとしか思えません。

私の情報提供は無視され、新聞等で報道されることはありませんでした!(悲)

重要なので、もう一度書きます。

人権に関する意識の希薄な職員が、何も考えずに計画を策定したとしか思えません。

(ツッコミ)記者クラブも希薄じゃ~!


問題点 その5 議員が陳情を無視 - 東大阪市議会

令和2年(2020年)9月2日付けで、私は、東大阪市議会事務局に陳情を提出しました。東大阪市議会第3回定例会です。

陳情をした、ということから、本記事の筆者は東大阪市民であることが分かると思います。

内容の趣旨は、上記「問題点 その1」で書いたとおりです。

東大阪市第三次総合計画における人権尊重の指標に関する陳情
(東大阪市 議会だより No.207 令和2年11月15日発行)

「所管の委員会」とは、常任委員会の総務委員会です。
この陳情が審議されることはありませんでした。


問題点 その6 「市民の声」でもアカン

以上のような活動をしてきたのですが、指標を設けた市役所の考え方が不明のままでした。

そこで私は、「市民の声」に投稿しました。投稿内容は、上記「問題点 その1」と同じ趣旨です。

これへの回答は、市役所のホームページに載っています。

市役所からの回答は次のとおりです。読み易くするため、改行などを入れました。

 東大阪市第3次総合計画基本計画の各施策における指標は、施策の実施により発生する効果・成果(アウトカム)を測るものを設定しております。

 多くの指標は統計値(例:施策 No.9 従業員一人当たりの粗付加価値額)や市が持つ実績値(例:施策 No.8 文化施設の稼働率)を活用して指標の設定を行っております。

 人権にまつわる指標に関しても統計値等の活用を検討いたしましたが、今回は「人権尊重のまちづくりが進められてると感じる市民の割合」を指標として設定いたしました。

 市が人権啓発により一層力を入れていくことで、人権尊重の機運が醸成され、「人権尊重のまちづくりが進められている」と感じる市民が増え、結果的に、市民全体の人権意識の向上につながるものと考えております。

 本計画はすでに決定しており、指標の変更を行うことはできませんが、いただいたご意見は今後の施策立案・検討の参考とさせていただきます。

「人権にまつわる指標に関しても統計値等の活用を検討いたしました」とあるものの、一番肝心な、何故、統計値や実績値を使わない?という疑問への回答はありません。理由を説明しないのです。

結局、何の役にも立たない指標を、(総合計画で)今後10年間追い続ける作業をすることになります。無駄!

10年後、目標値に達せず、
「残念だったねぇ~。次からは、もっと頑張ろうねぇ~」
という幼稚園レベルの評価程度で幕引きをするのは明らかです。
もちろん、その後も、同様の施策を繰り返すことが想定されます。

また、人権侵害問題対策として、「啓発により一層力を入れていく」ということです。

人権侵害を受けたとして、そして市役所がポスターやYouTubeや講演会で啓発を行ったとして、その啓発が、何の役に立つのでしょうか?
このような啓発は、意識高い系の人達のためにあります。

人権侵害を受けた場合、自分自身が不安定になるので、信頼できる、寄り添ってくれる相談員が必要になるのではないでしょうか?

また、人権侵害を行っている者が、ポスターなどの啓発を見たり、心を動かされたりすると考えますか?


問題点 その7 方針を変えない

東大阪市役所は「市民の声」において「本計画はすでに決定しており、指標の変更を行うことはできません」と回答しています。

ただし、常識的に考えて、行政のトップである市長が英断すれば、できるはずです。
市長がやっている英断とは、ラグビー関連事業ばっかりです。

市役所は、何故変更を行うことができないのかを、丁寧に説明する必要があります。

東大阪市第3次総合計画は、3個の計画が層化されて構成されています。

最上位層には「基本構想」があります。これは市議会で議決されました。なので、これを修正することは困難かもしれません。

中間層にある「基本計画」は、行政だけで決めています。私が指摘している問題点は、この基本計画にあります。

行政職員による人権問題に対する不当な態度が、そのまんま、「指標の変更を行うことはできません」という、根拠の無い回答(理由を説明しない回答)になって表れています。


問題点 その8 アンタのまちでもアカン - 寝屋川市など

市民意識調査は、主観調査であり、全国的に多くの地方自治体で、市民を対象に実施されています。
そして、それが、行政施策の基礎資料として使われています。
つまり、東大阪市だけではなく、読者(アナタ)の住む町でも同じことが行われている可能性があります。行われていない自治体も多数あります。

以下は、3つの地方自治体の市民意識調査の結果です。

1.大阪府寝屋川市

平成22年からの人権意識の推移を示しています。ほぼ変わらない、という結果です
(資料出所)第五次寝屋川市総合計画 後期基本計画中間総括報告書(令和元年12月)(12ページ)

 上の図は、平成22年からの人権意識の推移を示しています。ほぼ変わらない、という結果です。

 このような推移があり、ほぼ変わっていないのですから、寝屋川市役所の担当者としては、何故かな?という疑問を持つことが当たり前です。市の施策に効果が有るのか無いのかには、注意を集中する必要があります。

 また、寝屋川市で、このような教訓を得ているのですから、東大阪市役所では、この教訓の上に施策を講じるべきです。

2.京都市

寝屋川市の調査結果と同様に、横ばいで推移しています。

質問「くらしのなかで互いの人権を尊重し合う習慣と行動が広がっている。」への回答
「そう思う」と「どちらかというとそう思う」の合計
上段:年。下段:%
(資料出所)京都市情報館 トップページ>市政情報>財政・会計・行財政改革・財産有効活用>行政評価>政策評価>市民生活実感調査

寝屋川市の調査結果と同様に、横ばいで推移しています。

3.埼玉県 鴻巣市(こうのすし)

30年度は数値が下がっています。
(資料出所)鴻巣市ホームページ ホーム>市政情報>市政運営>行政評価>施策・基本事業評価(まちづくり報告書)

30年度は数値が下がっています。
鴻巣市役所は、数値が下がった原因を「インターネットの影響」であると説明していますが、ネット影響は全国規模で引き起こされます。京都市が同時期に増加していることから、鴻巣市の説明は正当ではないと思います。

人権尊重教育は全国各地で行われているにも関わらず、各地域における調査結果は、上記のとおり、ほぼ横ばいで推移しています。
教育効果が数値に現れていないのですから、教育のあり方や調査の正確性について検討する時期に来ているのは明らかです。

少なくとも、東大阪市役所のように、他の自治体が行ってきたことと同様の施策を今後10年間講じても、効果が全く無いことは明白です。


問題点 その9 京都市役所の方針に反論

京都市役所は次の考え方をしています。
人権に関する政策分野は,市民の実感が向上して初めて施策目的が達成できる分野であることから,評価指標としては市民生活実感調査の方が,客観指標より適している


つまり、人権侵害の被害案件等による実績値ではなく、一般市民を対象にした、主観に基づき回答するアンケート調査を採用する、という方針です。

ここで「市民の実感」とありますが、この市民には、人権侵害を受けていない人々が多数含まれることになります。
つまり多数派の論理で調査が設計されているのです。
技術的な反論は「問題点 その1」のとおりです。

京都市役所の考え方は、有識者などの考え方を基にしており、権威付けされています。なので、役所の立場上、修正できない、ということかもしれません。

しかしながら、有識者が示したのはアイデアです。
アイデアを具現化し、調査票に実装する時点において、人権尊重の理念が実現できないのであれば、アイデアにまでさかのぼって再検討し、修正する必要があります。

行政の施策の細かなところまで(実装時の問題点まで)、アイデアを出す時点(段階)で、分かるわけがありません。

京都市役所は、行政施策の品質を向上させていく作業を怠っています。...と、よそ様の自治体を名指しで批判したりする。

東大阪市役所では何の考え方も示さずに方針決定をしています。
それに比べれば、考え方を示したことには、「さすが京都市役所だなぁ」と感じます。あとは、もう少しよく考えてくれってことですね。...と、よそ様の自治体を名指しで批判したりする。


問題点 その10 私の情報発信が不発

私は自分のブログで情報発信をしましたが、誰も読みませんでした。
私は無名なので、やむを得ないのかもしれません。

皆さんは、「人権尊重に目標値50%を設定」って見出しにピンと来ないのですかね?

人権尊重に、目標値を設けるって発想そのものに疑問を持ちませんか?

こんな目標値を設けるって発想そのものが、人権について何も考えていないという証拠ですよね。

調査に関する技術的観点からは「問題点 その1」に書いたとおりです。

更に下記のとおり問題があります。


問題点 その11 市役所の所管の範囲

東大阪市の西隣にある大阪市は、「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」を設けました。

様々な評価があると思いますが、人権尊重のあり方に、なんとか一歩でも前に進もうとする気迫は感じられます。

このような一歩前進したかのような施策であっても、市役所という限られた所管・権限の中では、人権尊重への歩みを進めることは困難です。

市役所は万能ではありません。

大阪市役所がやってのけたのは、条例の制定です。趣味・娯楽であるラグビー事業ばかり目立つ、どこぞの役所とは大きく違いますな。
東大阪市役所が講じようとしているのは、従前どおりの啓発事業です。「なんとかして、やってやるぞぉー」という気迫が希薄だ....!

数値目標を定めたとしても、そこにたどり着くことは不可能でしょう。しかも、啓発事業で。  人の意識を変えることは困難です。
結果は、上記「問題点 その8」で示した、各自治体の統計数値が示しているとおりです。
といっても、あれらの統計数値には、技術的観点から意味が無いことは、上記「問題点 その1」で指摘したとおりです。

東大阪市役所は、困難な事業の結果を、技術的に欠陥のある調査で測定しようとしているのです。このような条件の下で、目標を設定することは不当です。


問題点 その12 目標論(責任論)

「目標とはいかにあるべきか」という議論があります。

政治家は、人権尊重に関する数値目標を掲げるでしょうか?

しません。

何故なら、実現不可能であることを知っているからです。

この目標を掲げた場合、実現できなかったことに対する責任が追及されることになります。追及されて、落選します。
守れないことは約束しない、ということです。

企業の経営者は、経営に関する数値目標を掲げるでしょうか?

掲げます。

それをしないと、銀行から融資を受けることができません。

結果として融資の返済ができれば良いので、正確には、数値目標を実現できなくても良いのですが、それでも、原則論としては、数値目標の達成に責任を持たなくてなりません。

なので、数値目標は、可能な限り科学的・合理的に考えた、実現可能性の高い計画を根拠にします。

世の大多数は民間企業です。
なので、目標というものは、実現可能性の高い数値を掲げる、というのが常識であり、当たり前であり、コンセンサスを得ている考え方です。
実現可能性の無い目標を掲げた場合、周囲の信頼を裏切ることになり、詐欺です。そして、場合によっては犯罪になるでしょう。

市役所は、人権尊重に関する数値目標を掲げるのでしょうか?

東大阪市役所は、掲げています。

何故なら、実現できなくても、責任を取らないからです。東大阪市役所職員は、そういう前提で仕事をしています。

キレイゴトを並べ、表面だけ、見た目だけを作っているだけです。
東大阪市内でマスコットキャラクター「トライくん」の露出度が高いのも、見た目だけで、本質の部分が表に出ないようにするっていうコンタンですね。

「トライくん」の露出度が高いのも、見た目だけで、本質の部分が表に出ないようにするっていうコンタンですね

実現できなければ給料を減額する!という市役所幹部の御判断があれば、実現可能性の高い施策を講じるでしょう。
市役所の幹部自身が、施策や目標や数値に責任を取らない、と決め込んでいるのです。なので、人権尊重施策に目標を設ける、という発想になります。

「何故、統計値や実績値を使わない?」など、いくつかの疑問への回答が無いのは、精神論を根拠にしているためでしょう(推測)。


問題点 その13 精神の同一化

実は、幸か不幸か、統計上の数値を上げる方法はあります。

調査対象者を同一化してしまえば良いのです。多数派を相当数増やし、そして、少数派を極端に少数にしてしまえば、良いのです。

そうした上で、「人権を尊重したまちづくりが進められていると思いますか」と問えば、ほとんどの人は同じ精神構造の持ち主になっているので、「そう思う」と回答するでしょう。

このような事態では、少数派が、抑圧されていることが想像できます。でも、「そう思う」の数値が高いので、行政の判断としては「問題無し」となります。

この同一化をするための道具が、ラグビーであったり、スポーツであったりします。

ラグビーにはワンチームという言葉があります。一体感を持つには良い言葉ですね。非日常世界ですけどね。

ワンチーム! ワンチーム!
このように同調圧力を強化すれば、市民からの不満は表に出なくなるでしょう。
市民自身が同調警察となって、同調圧力を高めてくれます。

趣味・娯楽であるラグビー事業に多くの行政資源をつぎ込むのには、精神の同一化を目指す狙いがあると思われます。

治める者の立場から見て、取り扱い易い市民のまちですね。
不満を表面化させず、抑え込むのです。
市民自身も一体化・同一化して、喜んでる部分があるかもしれません。(ついていけませんけどね)

喜ぶ市民たち

とにかく東大阪市は「ラグビーのまち」「スポーツのまち」なので、体育会系のまちであることは確かでしょう。

子どもが東大阪市の公立学校で学べば、ラグビー愛好者に育てあがってしまうでしょう。
それほどのスクラムです。ワンチーム! ワンチーム!
それで良ければ、東大阪市にお住まいください。

既に住んでしまってる人は、なんとかしましょう(笑)


問題点 その14 差別の発生機序

差別というものは、今後も、生成され続ける可能性があります。
ある行為が、いままで差別とは認識されておらず、社会習慣であったのだけれど、ある時点で「差別である」という取り扱いをされることがあります。
そういう認識転換が、何かの事象に対して、将来、発生することはあり得ます。

人権侵害への判断基準が追加され変化していくのですから、諸般の事情により、その基準に着いて来れる者と来れない者が発生するであろうことは想像できます。すると、そこで人権侵害問題が発生します。

現在「差別」であると認定されていない事案は、目標値の中に組み込まれませんし、組み込みようがありません。

仮に、将来、ある事案が人権侵害だと認定されたとしましょう。
すると、今現在設定した目標値は、将来時点でみた場合、「目標設定が低い」という評価になるでしょう。織り込まれていない事案があるため。

「問題点 その8」で指摘した、埼玉県 鴻巣市(こうのすし)は、数値が下がった原因を「インターネットの影響」であると説明していました。
目標値を設定する場合、インターネットの影響などは、今現在人権侵害案件として認定されているのですから、今般の目標値に織り込んでおくべきものです。
また、今後、外国人が増え、考え方が多様化することが予想されますが、それに伴う人権侵害事件も、今般の目標値に織り込んでおくべきものです。

差別意識というものは潜在化されているものですが、そのような意識は、例えば、コロナ禍のような、人が動く場合に顕在化します。
潜在化や顕在化は、その時々の社会のあり方によって変化するため、これをどのように統計調査の数値の中から読み解くのかという課題が出てきます。

東大阪市役所が示した、目標値50%が、何を根拠にして設定したのか、是非知りたいですが、説明しようとはしません。

説明しないのは、責任を取らない、という発想があるからでしょう。

10年後、目標値が達成できない東大阪市役所職員の言い訳として
「インターネットの影響や外国人が多くなったことによる多様化で目標を達成することができませんでした」
と言い張ることが十分予想できます。

職員自身の浅薄(センパク)な目標設定が原因であるにも関わらず、社会の側に原因があるかのように責任転嫁をするのでしょう(推測)。

人権尊重の施策は、合理的・科学的に考え、適切な手段を講じてこそ、前進します。もちろん、十分に考えた手段を講じても、効果がなく、結果が出ないことはあります。
ただ、その場合であっても、合理的に考えた部分に関しては、その教訓を後任者に伝え、社会で共有することはできます。

東大阪市役所は精神論で突き進み、何も説明しないのですから、後世(若い世代)には学習できる教訓が何も残りません。



最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

以上