ネット・ゲーム依存症対策条例 非公開内容を県議会で「暴露」

香川県ネット・ゲーム依存症対策条例
非公開内容を県議会討論で「暴露」


香川県ネット・ゲーム依存症対策条例 非公開内容を県議会討論で「暴露」


要旨

 「香川県議会ネット・ゲーム依存症対策に関する条例検討委員会」は非公開であったし議事録も無い。

 しかし、県議会討論において、その内容の一部が公表されていた。

 その内容とは、、、


香川県ネット・ゲーム依存症対策条例の経緯

 香川県議会事務局が、令和2年(2020年)6月23日に、令和2年2月定例会・本会議の会議録を公開した。

 令和2年2~3月の会議であるため、議事録というものは概ね3カ月後に完成するということだ。

 この議事録に佐伯明浩(さえき あきひろ)君による賛成討論がある。

以下引用
◯佐伯明浩君 発議案第一号、香川県ネット・ゲーム依存症対策条例議案について、賛成の立場で討論を行います。(中略)検討委員会での意見交換では、小学校長からは、「インターネットやゲームは便利ではあるが、負の側面もあることを知るべきである。普及啓発を条例で後押ししてほしい。」との要望がありました。(以下省略)
以上引用

 この検討委員会は、非公開であり、議事録が無いとのことで、(大阪府民である私でも知るほど)めっちゃ有名だ。

 佐伯明浩君は、この悪名を少しでも下げようと、検討委員会の内容を伝えてくれたようだ。親切にありがとう。


香川県議会検討委員会の問題点

 上記引用のとおり、この検討委員会で、『小学校長から「(中略)普及啓発を条例で後押ししてほしい。」との要望があ』ったとのことである。

 依存症対策の枠組みとしては、条例という手段の他にも、県又は教育委員会でガイドラインを作成することや、「さぬきっ子の約束」の見直しをすることなども考えられる。

 また、普及・啓発であれば、条例による定めがなくても、知事の権限の範囲内でできる


 小学校長という教育の管理職が、立法機関の委員に、(他の手段ではなく)条例制定という手段を講じるよう、公共の場で要望したのである。

 香川県では、教育と立法とが混在した仕事の仕方が一般的なのだろう。


 「普及啓発を条例で後押し」に対しては、異論を唱える教育者もいるだろう。

 教育問題の解決手段として、条例制定が最適であるわけがない。


 「普及啓発を条例で後押し」したからといって、問題の解決はしないし、効果があるとは思えない。

 「条例無し」による普及啓発と、「条例有り」の普及啓発を比べた場合、何が違うのか。
 それは、「条例に書いてあるから」と言えるかどうかだ。👈

 何の意味も無い!

 「条例に書いてあるから」と子どもに指導する場合、何が働くのか。それは、権威であり、思考停止である。

 この教育方針は条例という権威に依存している。その方針は、子どもに何も考えさせず、従うことだけを強要するものであり、生活習慣を自ら考え・学習していく態度を習得させようとするものでない。

 教育者にとって、この条例は効果があるのか?。「条例に書いてあるから」と説明したとして、子どもは納得するのか?。

 不当な手続きによって成立した条例を、子どもに説明することが教育的なのか?。


意思統一された専門家群(樋口進氏など)

 問題なのは、この小学校長だけではない。

 公文書による記録は無いのだが、KSBの報道によると、久里浜医療センター院長、樋口進氏が次の発言を行っている。

未成年者の行動規範を条例で示していただくと、ここにちゃんと書いてあるということを根拠にいろんな指導ができるんじゃないか


 立法の立場では無い者(他の分野の学識経験者)が、立法のあり方(条例という手段で問題を解決しようという方向性)を意見・要望しているのである。

 教育者や医療従事者が全員このような態度の持ち主であるわけがない。むしろマレであると思う。

 条例制定への要望意思のある教育者や医療従事者だけを、あらかじめ選定し、検討委員会に呼んだのだ。
 そして「条例で後押ししてほしい」との具体的な制度設計の提言を行わせたのだ。

 これら識者は、社会の制度設計のあり方まで勉強しているのであろうから、そのお考えの基に、どのように発言して頂いても構わない。

 ただし、このような考え方には、「効果が無い」などの異論が出るのは十分想定される。
 「効果が無いのではないか」という視点からも、当然、立法の立場で議論・検討を行うべきであった。
 議事録が無いのであるから、どこまで真面目に考えたのかがわからない。
 議論の進め方としては偏りがある。


真の意図

 条例制定などの社会の制度設計は、立法が行う仕事だ。学識経験者の発言を素材として、条例とかガイドラインとかを含めた様々な手段の選択肢を考慮・議論するのが立法の仕事だ。

 なのに、何故、社会制度設計の専門では無い者(小学校長や医療関係者)に、条例という具体策を直接言わせ、それを公式記録に残したのか。

 それは、政治家の意図・発言ではありませんよ、と演出をしたかったのだ。

 本当に学識経験者にそれを言わせたいのであれば、法令関係の学識経験者を呼ぶべきであった。例えば、香川大学の法学部長とかだ。たぶん、言わないだろうが。

 本条例が子どもの教育に対して実質上効果が無いことは誰でもが分かることだ。

 何故、敢えて、そんな効果の無い条例を作ったのか。

 それは、教育機関に対して規制をかけたかったためである。
 「(条例に)書いてあるということを根拠にいろんな指導ができる」とは、政治家の立場から見て、学校関係者への指導を含むのだ。

 条例に書いてあることを行わない教育委員会や学校長に対する有形・無形の指導を行い、それ相応の人事処分を行うことが次のステップだ。
 あの小学校長は、模範を示し、今後出世するだろう。
 今は、教育委員会は、条例への対応に消極的だが、今後どうなるのかは分からない。

 条例が施行されてしまっている現在においては、「教育委員会及び学校長は、条例の周知徹底を行うべきだ」という主張が正論である。

 政治による教育支配
 依存症医療関係者の香川での拠点づくり(依存症医療関連予算の毎年度の確実な確保)
 これらが真の狙いだ。


(参考)